暗黒ギフト2

ようやくそのことに気が付いたのだ。


現実ではほんの少しでも体から離れるとアウトなんだ。


もう二度と、戻れなくなるんだ……。


両親が梓の体にすがりついて泣きじゃくる。


医師は懸命に新マッサージを続けているが、モニターの心電図はきっと回復しないのだろう。


ここからじゃ画面は見えなかったけれど、様子を見ていると理解できてしまった。


『嘘だよ、私が死ぬなんて……』


ポロリと頬に涙が流れた。


だって、やりたいことがまだまだ沢山残ってる。


あれもこれもできてない。


病気のせいで遊びに行くことだって勉强することだって中途半端なままだ。


このまま死ぬなんて嫌だ……!


強くそう願ったときだった。


途端に周囲が明るくなって、梓はなにもない真っ白な世界に来ていたのだ。


さっきまで病院の外を漂っていたのに、ここにはなにもなかった。