暗黒ギフト2

梓はひとまず自分の体に戻ることを諦めて、ここから飛び出してみることにした。


病室の窓へ向けて進んでいく。


ベッドに近づいたときと同じように弾かれてしまうかと思ったが、窓はすんなりと通り抜けることができてしまった。


『わぁ!』


思わず声を上げる。


梓がいる場所は病院の5階部分だったようで、外に出た瞬間街を見下ろすようになったのだ。


5階の高さから見下ろす街は人々が小さく見える。


以外と緑が多かったり、大きいと思っていた池が小さい。


それが楽しくて梓は病院の屋上を目指した。


ふよふよと頼りなく感じる魂だけの梓だったが、外に出て飛ぶことであっという間に扱いに慣れてきた。


屋上へ行きたいと願うだけで体が自然と向きを変えて、屋上へと向かってくれるのだ。


だから梓自身が疲れるようなことはなにもないし、移動も早い。


こんなに便利なことがあるのかと驚いてしまった。