海斗は頷き、微笑んだ。


花火の光で病室内も色とりどりに花が咲いたようになる。


窓の近くにいる2人はさっきからうるさいくらいに騒いでいて、ここに来ることができて本当によかったと感じた。


「また来年も一緒に見ような。今度は河川敷でさ、屋台の料理を食べながら」


窓へ視線を向けて海斗は梓に話しかける。


「そうだね……そんな未来が……来たら……」


言葉がとぎれとぎれになり、海斗が梓へ視線を向けた。


梓は口元に笑みを浮かべて目を閉じていた。


「梓?」


声をかけても返事はない。


「おい、梓?」


肩を揺すってみても梓は目を開けない。


異変に気が付いた健と亮子がかけよってきた。


「梓!!!」


海斗の叫び声が病室に響く。


そうだね。


そんな未来が来たら、きっと幸せだね……。