「あの子の臓器はきっとお嬢様に適合します!」


突然の発言に3人共目を見開いて絶句した。


あの子とは亮子のことで間違いない。


でも、どうしてこの男がそんなことを知っているんだろう。


「お嬢様のクラスメートについては一通り調べさせていただきました。血液型はもちろん、今までの病歴や事故の有無など。その中でただひとり、あの子の血液型がお嬢様と一致したのです」


熱弁する男に海斗は「血液型?」と聞き返した。


「私の血液型は珍しいの。それでドナーがなかなか現れなかったの」


梓は静かに答える。


「あの子は幼い頃交通事故にあっていて、その時のデータがありました。詳しい血液型を確認したので間違いありません」


男は高揚した声色をしている。


しかし、梓は少しも笑わなかった。


「それで亮子を殺そうとしたの?」


低い声で聞かれて男は黙り込む。


「このままでお嬢様の体は数ヶ月も持ちません」