救急搬送された梓はすぐに落ち着いて、けれど担当医にはこっぴどく怒られることになってしまった。


しばらくは梓専属の看護師がぴったりとくっついているようになってしまった。


「どうして亮子を狙ったの?」


落ち着いて病室へ戻ってから、梓はベッドの中から執事に聞いた。


ドアの近くには海斗と健の2人もいるが、亮子には帰ってもらっていた。


一番の被害者は亮子であるけれど、全部解決してからちゃんと説明することにしたのだ。


この男は長年梓に使えてきていて、本当に信用できる人間だった。


そんな人がこんな問題を起こすということは、よほどの理由があるはずだ。


「お嬢様を助けたかったんです」


執事が絞り出すような声で呟いた。


「私を助ける?」


梓は眉間にシワを寄せる。