愕然とすると同時に海斗は自分の推理は間違えていたことを知った。


担任教師の噂は本当にただの噂で、亮子を狙ってなんていなかった。


亮子を狙っていたのは……。


「そこまでだよ」


そんな声が聞こえてきたかと思うと、茂みの影から梓が姿を表した。


梓の出現に逃げていた男が立ち止まる。


「お嬢様、どうしてここに」


息を切らしながら男が呟くのが聞こえてきた。


そう、亮子を突き飛ばしたのは梓の執事だったのだ。


「私の予知夢は相手の顔までは判別できない。だけど、体格や服装なら見ることができる。あなたのこのスーツ。私の両親が作った特注品だから夢の中でもすぐにわかった」


2人に追いついた海斗は肩で大きく息をした。


その後から亮子と健の2人も駆け寄ってくる。


「梓ちゃん、病院は?」