「え~? 海斗くんと健くんにはそんなイメージないなぁ」


「わかる」


クスクスと頷きあって笑い始める3人組に海斗と健は目を見交わせた。


自分たちがそんなに悪いイメージを持たれているなんて、少しショックだ。


だけどこんなところでショックを受けている場合ではない。


男が用意してくれたハンカチのお陰で3人を引き止めることに成功したが、事故の大きさによってはここにいても危険だ。


「なんだよそれ。っていうか、靴紐解けてないか?」


健が仏頂面になってそう言い、1人の運動靴を指差した。


「あ、本当だ!」


「危ないから、こっちで結び直せば?」


健が上手に誘導して歩道の脇へと移動する。


さっき3人組がハンカチを取り出して見せている間に、健がこっそりしゃがみこんで靴紐を解いていたのだ。


こんなにうまく行くとは思わなかったけれど。


他愛のない会話をしながら靴紐を結び直していると、1台の軽自動車が近づいてくるのが見えた。


その車は左右に蛇行しながらこちらへ近づいてくる。