翌日から2人は亮子の監視が始まった。


時間があるごとに隣にクラスに足を運び、友人とおしゃべりをするふりをしながら亮子の様子を確認した。


梓からなんの連絡も入らなくてもこうして監視することで危機的状況を回避することができるはずだった。


「ひとりきりになることはないみたいだな」


昼休憩時間中、早めに給食を食べ終えた海斗と健は、やはり隣のクラスに遊びにきていた。


「そうだな」


海斗は頷く。


亮子は友人たちに囲まれて楽しそうに談笑している。


転校してきてすぐの頃にクラス中の女子からイジメられていたなんて、今の姿からでは想像できなかった。


「あの子とも一緒に遊ぶんだな」


亮子と一緒にカナの姿もあって健が呆れた声を漏らす。


自分を金で売るような人間、健からすれば絶交ものだ。


「優しいんだろ。だから梓のことも許して見舞いに行くようになったんだ」


そのことについては海斗は嬉しく思っていた。