どうにか亮子を河川敷へ助け上げた後、海斗と健はどうしてこんなところにいたのか質問をした。


「友達が河川敷に落とし物をしたっていうから、一緒に探してあげてたの」


「友達?」


海斗が首をかしげる。


最初から亮子はひとりきりだったように見える。


「うん。だけどその子、私が探してあげている間に帰っちゃったみたい」


その言葉に今度は眉間にシワを寄せた。


友達に探しものをさせておいて自分は先に帰るなんて、ちょっと考えられない行為だ。


「それで、どうして川に落ちたんだ?」


健が確信へ近づく。


単純に足を滑らせたのかもしれないし、あるいは……。


亮子がサッと青ざめた。


びしょ濡れに鳴ったスカートのスソをキツク握りしめる。


「信じてもらえないかもしれないけど、誰かに背中を押された気がする」


「背中を押された?」


健は聞き返した。


亮子はうつむいて、頷く。


その唇は真っ青でカタカタと震えている。