健は太いロープを持っていて「行くぞ!」と一声かけると、それを海斗へ向けて投げた。


人が流されるとわかっていたので、予め学校の倉庫から拝借していたのだ。


溺れている人が冷静にロープを掴むことができるかどうかわからなかったから、海斗が先に川へ飛び込む形にした。


「よし、もう大丈夫だぞ」


ロープをしっかりと手首に巻き付けて亮子に声をかける。


亮子は真っ青な顔をしていたけれど、しっかりと頷いたのだった。