と大きな音がして、同時に女子生徒の悲鳴が響き渡ったのだ。


その声に弾かれたように川へ近づく2人。


草木の間から川の中を確認すると、ピンク色の服が見えた。


それは川の中に沈んだり出たりを繰り返してどんどん流されていく。


赤いランドセルが少し離れたところを流れていくのも見えた。


「くそっ!」


海斗は軽く舌打ちをしてランドセを放り投げると、同時に川へ飛び込んでいた。


水泳は得意な方だった。


川で泳いだことだって何度もある。


だけど溺れている人を助けるのは初めての経験だった。


力強い泳ぎで亮子まで近づいて行った海斗は、亮子の首に腕を回した。


亮子は薄めを開けてこちらを見た。


よかった、意識はあるみたいだ。


海斗の顔を見て驚いたように目を見開いた後、大きく息を吸い込む音が聞こえる。


それほどパニックにもなっていないし、この様子だと大丈夫そうだ。


といっても川の流れは思ったよりも早いみたいで、亮子を抱えたまま河川敷へ泳ぐことは難しそうだ。


海斗は河川敷にいる健へ視線を向けた。