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いくら健に励まされてもやっぱり海斗にとって梓が弱っていく姿は胸が痛むものだった。


思わずお見舞いから逃げ出してしまう気持ちも、今でも持っている。


けれどもうそれはしないのだ。


梓は真正面から自分に向きあって、信用してギフトを送ってくれている。


だから海斗も真正面から梓と向き合いたかった。


自室へ戻ると海斗は勢いよくベッドにダイブをした。


ふかふかの布団は太陽の匂いがして、昼間母親が干してくれたのだろうということがわかった。


そんな布団に顔をうずめて、海斗は肩を震わせた。


病院のベッドで横になっている梓の姿を思い出すと自然と涙が出てきてしまう。
細い体。


弱々しい笑い声。


もう少しで消えてしまうんじゃないかという恐怖心がつきまとう。


「俺が泣いてどうするんだよ」