それ以上梓に突き合わせていると、どんどん顔色が悪くなってくる。


それでも梓は話の続きが聞きたいのか、少し無理をしてしまうようなのだ。


「今日の話はこれでおしまい」


海斗が締めくくると梓は満足げに微笑んで、ベッドを下げる。


「じゃあ、明日もまた来るから」


海斗がそう言うと、梓は必ず海斗の手を握りしめた。


まるで海斗の存在をしっかりと確かめるように強く握りしめる。


それでもその力は弱くて、その度に海斗は涙が出てきそうだった。


けれど、絶対に梓の前ではなかないと決めていた。


泣きたいのは自分だけじゃない。


梓だって泣きたい気持ちを我慢しているに違いない。


俺はもっと強くならないといけない。


「約束だよ?」


「もちろんだ」


そうして海斗と健は病室を出る。