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梓の手の感触を思い出して海斗はついボーっとしてしまっていた。


「なにぼーっとしてんだよ」


と、健に突っ込まれるまで自分でも気が付かなかった。


「いや、別になんでもない」


慌ててそういうが、健はなにかに感づいている様子でニヤついた笑みを海斗へ向ける。


「お前も隅に置けねぇよなぁ。メガネ女子を泣かせてまで梓ちゃんを取るなんてさ」


「は? なんのことだ?」


どうして今メガネ女子のことがでてくるのかわからなくて首をかしげる。


そうしている間に健から冷めた目でジッと見つめられていることに気が付いた。


ニヤついてきたり、冷めた目で見てきたりなにがしたいんだコイツは。


「なんだかわかんねぇけど、明日もお見舞いに行くんだろ?」


歩きながら聞くと健は頷いた。


「もちろん。俺は誰かさんと違って毎日でも梓ちゃんに会いに行きたいもんねぇ!」


「それなら俺も行く!」


すかさず言うと健がまたニヤリと笑った。