俺がじっとはるを見ると,はるは「あ」という顔をした。



「ごっごめん」



あははと俺の前の席に座るはる。

誰だって,他所の家に上がった時,1度は

「好きなとこ座って」

と言われる経験があると思う。

そんなとき,はるは何故か必ず床を選ぶんだ。

はる曰く



「どこまでが好きなとこか分かんないし,ソファーとか椅子に座るのは気が引ける。それなら床のが楽」



らしい。

でも俺の家でくらい,気を抜いて欲しいと思うのが男心。

多分はるのあれは癖だから,半分くらい諦めてるけど。

俺はタッパーの中身を覗いた。

ほんのりピーマンの匂いがしたけど,そいつは見つからない。

はてな? と首をかしげるとはるが言う。



「風ピーマンはやだって昔からずっと言ってるんだもん。ちゃんと抜いてきたよ」