この学園で弁当を食べているものを見たのも初めてだが、その上……こんなにも質素な弁当を食べている。

一応野菜も入ってはいるが、明らかに栄養バランスが偏っている。

鈴蘭が細身なこともあり、食生活が心配になった。



「食べるのは大好きです……! あ、朝は、あんまり時間がなくて……」

「自分で作っているのか?」

「はい。って言っても、卵焼きを焼いて、おかずを詰めているだけですけど……」



そう言って、はにかんだ鈴蘭。



「そうか……」



鈴蘭が作っているとわかっただけで、その弁当が輝いて見えた。

思わず、食い入るように見てしまう。



「卵焼きでよければ、食べますか……?」



俺の視線に気づいたのか、鈴蘭がそう提案してくれた。



「いいのか?」

「はい」