「遅れてごめんっ、ふたりとも!」
「桃華!」
「おつかれ〜!」
無事?MVの撮影が終わってから、はや1ヶ月。
「3人でこうして集まるの久しぶりだね!」
「桃華、学校でも見かけないから、忙しそうだなって思ってたけど、ちゃんと寝れてる?」
「大丈夫!ぜんぜん平気!
あれ、胡桃……」
「ん?」
「なんか痩せた?」
「え?そう、かな」
「あすみもそう思わない?」
私の正面に座ったとたんに指摘されて、一瞬ギクッとする。
「そう?胡桃、元々細いからそう思うだけじゃない?」
淡々と、なんともないように話すあーちゃん。
ありがとう……黙っててくれて。
大丈夫?私、ちゃんと笑えてるかな。
「夏バテかなぁ……最近めちゃくちゃ暑いし。あ、もしかしてダイエット中だったり〜??」
「う、うん、そんなとこ」
「そっかぁ、急に暑くなってくると体調崩しやすいから。ごめんね、なのに集まろうって話になって」
「ぜんぜん大丈夫。それより桃華、せっかくの休憩中だったのに、休んでなくてよかったの?」
「いいんだよ!ふたりと話してるとすっごく癒されるから!」
そう言って笑う桃華に、ホッと胸をなで下ろす。
良かった……なんとか話、逸らすことできて。
桃華、何かと鋭いとこあるし、これ以上深入りされたら困るから。
ドラマの影響から、ますます忙しくなった桃華に、心配かけたくない。
最近食欲がないこと。
その理由は……いつかの桃華と、同じ、だから、尚更言いたくない。
「にしてもさっすが桃華、こんなオシャレなカフェ知ってるなんて」
「前に教えてもらってね?ふたりともフルーツ好きだし、評判いいって聞いて絶対ここにしようと思って!」
学校が終わった放課後。
久しぶりに3人でお茶でもしようって桃華に誘われて、あーちゃんと私は先にカフェで待っていた。
「ありがとう、桃華」
「桃華ありがとう!」
「いえいえ!」
フルーツサンドで有名な隠れ家みたいなカフェ。
3人揃ったところで、さっそくお店で一番人気のイチゴ、キウイ、オレンジと生クリームがサンドされたものを頼むことにした。