バスタオルを巻き付け、髪がびしょ濡れ状態の自分に気づきパニックになった。

なんかいろいろ見られたんじゃない⁉︎
あたふたするがすでに遅い。

修哉さんがパジャマと着替え一式を持って戻ってくる。

「あ、ありがとうございます。」
小声で言うと、中ば引ったくるように着替えを奪い抱きしめて急いで洗面所に隠れる。

着替えをバタバタ済ませ、びしょ濡れになった床を慌ててバスタオルで拭く。

濡れたバスタオルを洗濯機に放り込んで、落ち着け落ち着け私と呪文のように心で唱える。

「…小春、ごめん。
ちょっとトラウマになるから洗面所から出てきて…。」
修哉さんが控えめにドアの向こうから声を掛けてくる。

「…ああっ。ごめんなさい。」
急いでドアを開けて廊下に出る。

ペットボトルを渡されて、
「髪びしょびしょだから」と鏡の前に誘導される。
修哉さんがドライヤーを持ち、後ろから私の髪を優しく乾かしてくれる。

「ありがとうございます…。」
まだ恥ずかしくて顔が上げられない。

鏡越しにチラッと修哉さんを覗き見る。

一瞬目が合ってふわりと微笑をくれる。

この人はどれだけ深い悲しみを今まで1人で抱えできたんだろう。

「綺麗な髪だな。柔らかくてサラサラしてる。ちゃんと乾かさないと痛むぞ。」
そう言いながら微笑んで指で髪を梳く。

泣いちゃダメだと堪えていると肩が震えて隠しきれなくなる。

修哉さんがそれに気づいて驚き慌てる。
「どうした⁉︎
別に怒って無いぞ?
ただ慌てて心配しただけで…。

ホント見てないから必死だったからさ。」
そう言って涙をタオルで拭いてくれる。

「大丈夫だから。もう泣かなくていい。」
優しい言葉とは裏腹に私の涙は止まらず、ポタポタと床に落ちる。

心配そうに修哉さんは私を見てる。

私は背伸びして、修哉さんの首に手を回して力一杯抱きしめる。

「どうした⁉︎どっか痛いのか⁉︎」
心配しながら背中をトントン撫ぜてくれる。