(…でも、家族かもしれない人の前で家族の話なんて地雷にもほどがある。私がどんな思いでここにいると思って…)

「あの、もう本当に気にしないでいいですからね…?」

いつまでも、顔を俯かせて上げようとしないキースに
怒りが再燃しそうになったのを隠して、なるべく柔らかい声で言葉をかける。

「こう言ってくれてるんだ、あまり気にしすぎるなよ」

クフォードがキースの肩を叩いて慰める。

「…うん、ありがとう。ごめんね」

(いい加減なんだか、真面目なんだか、ややこしい人)

「そういえば…さっきの魔法の発動速度すごかったですね」
「そうだな、さすが難関と言われる試験に一発合格しただけのことはある」

「いえ、大したことでは…」