「…ククッ、やはり面白いなルージュ嬢は」

「同感だね、僕たちの存在を忘れるなんて」

「よっぽど本が好きなんですね」

その会話に、ルージュは現実に引きもどされた。

(現実なんて、忘れていたかった…)

「あの、皆さんは読みたい本があるんですよね?ならもう…」

「あぁ、いいんだよ。僕たちのことは」

ルージュが言い終わらないうちにキースは笑顔で遮る。

「好きな本を持ってくるといい、読書に最適な場所があるんだ」

「そうですよ、私たちのことはお気になさらず」

三人とも有無を言わせない笑顔を浮かべながら、ルージュを促す。