母様の言葉にサフィは首を振る。 「いいえ、十分です。施設にご寄付いただければ、またたくさんの子供たちを救えますから」 「…そうですか、あなたはやはり素晴らしい人だ」 ーー後に施設には目を疑うくらいの多額の寄付がされるのだが、まだそれを知る者はいない。 「サフィ、また会いに行くから」 「えぇ、いつでも帰ってきて」 サフィが施設に帰るのには、王族が持つ快適な馬車が使われた。 サフィは恐縮していたが、父様が譲らなかった。