二人は、驚きに固まって何も発さない。 「私がマリスだったら、家族にはちゃんと自分の死を受け入れて、泣いてほしい。 ちゃんと悲しんでほしい。そして…、たくさん泣いた後は、前を向いて生きていってほしい」 「…うぅ、あぁぁぁっ」 「マリ、ス…、うぅ、わぁぁんっ」 (私にはわかる。誘拐される恐怖を、家族に会いたいと心から願うことも) 「あなた達は間違えた。マリスの代わりなんていないのに」 そんなに泣くほど悲しかったなら、もっと早く…。