ルージュはこの施設では古株で、周りの子は幼い子たちが多い。 なので、もうすぐ十六歳になるルージュと話す子はいないのだ。 加えて、ルージュがどんな人に対しても、一線を引いているのもあるから、 幼い子たちはそれを何となく感じ取っているのだろう。 「…今日であなたとお別れね。寂しくなるわ」 「…」 どんな言葉を返すのが正解なのか分からない。 ルージュがこんな風に返事に詰まって、声を出さないでいてもサフィは怒ったりしない。 だからこそ、彼女といるときだけは少しだけ肩の力が抜ける。