「誰にも言えないんだ、ごめんね。…今までありがとう、カーラ」 頭を下げて、これまでの感謝を伝える。 「そ、そんな、ルージュ様、頭を上げてください」 「ありがとね」 「い、いえ…、そんな大したことは…」 カーラは恐縮しきりだった。 今まで面と向かって、感謝を告げられたのは初めてだった。 メイドに世話をしてもらうのは、当たり前だと思っている貴族が多かったから。