「どうしてこんなことに…、っ。…う、うわぁぁんっ」 レイチェルはその場に崩れ落ち、大声で泣きだした。 周りの反応は様々だ。 いい気味だと嗤うものもいれば、かわいそうだと同情する者もいる。 「私はっ、私たちは特別だって、お父様が言っていたのよっ。貴族は、尊敬される存在だってっ」 「…それは違います。貴族が尊敬される存在なのは、国のために、人のために働くからです」 ルージュの静かな声にあたりは静寂に包まれる。 「何もしないで、ただ尊敬されるなんて、そんなことがあるわけないじゃないですか」