(これ以上、家族に、過去にこだわるのはやめよう) 「殿下の妹君は生きていますよ、きっと、どこかで…」 ルージュの言葉にクフォードは目を瞠り、手をおでこに当て顔を伏せた。 「そう、だな。きっと、妹も俺たちに会いたいって、思ってくれているよな」 顔は見えないが、横から見えた頬が、少し濡れている気がした。 声も、さっき以上に震えて涙声になっている。 (殿下が、卒業するまでは…、そばにいさせてください) 妹として、そばにいることはできないけど…。 どうか、心の中で思うのだけは許してください。