「私、は…」 はい、とは答えられない。 だって目の前に…、ずっと会いたかった家族かもしれない人がいるのだから。 「…すまない、失礼だったな。忘れてくれ」 「でっ、殿下は…、いるんですか。会いたい人」 クフォードが席を立とうとしたので、思い切って尋ねてみた。 クフォードは一瞬、目を見開いた後、椅子に座りなおした。 「俺は…、いるよ。ずっと、会いたいと思ってる子が…」 遠くを見つめながら悲し気に、少し声を震わせながら言葉を発する。