木の上から声をかけられて顔を上げると、フォルテ先生が太くなっている枝に座っていた。

「私は特に問題はないので、他の生徒を見たらいかがですか」

「余裕なのね、他の子はそれなりに苦戦しているようだけど。…よいしょっと」

フォルテ先生は音もたてずに地面に降り立つと、ルージュの前に来る。

「ねぇ、一つ聞きたいことがあるの。時間はとらせないわ、いいかしら?」

「なんでしょう」

「あなた…、ほんとは何者?」

腕を組み、首を傾げる姿は気軽な雰囲気を漂わせているが

目は真実を見抜くように、油断なくルージュを見つめている。