「あれ?どうしたの?」


ベッドの上から降りようとしていた。
その動きは、聞こえてきた声にピタッと止まる。


「体調不良?」

「いえ、葉月さんの荷物を持ってきました。寝ていたのでベッドの横に置いてます」

「そうだったのね、ありがとう」


先生との会話が聞こえてきて、ふと隣を見るとベッド横の丸椅子に、あたしのリュックが置かれていた。


荷物、持ってきてくれたんだ……。


先生に頼まれたのか、自分で進んでなのか、どちらか分からない。

だけど、彼が荷物を持ってきてくれたという事実に複雑な気持ちになる。


それに『ごめん』っていう、あの言葉──。


あたしがボーッと、残された荷物を見つめていると、「それじゃ失礼します」と、先生に挨拶する声が聞こえて。

保健室の引き戸が閉められる音にハッとして、ベッドに横になろうとした時にはもう遅かった。