「──……」


ぼんやりとした視界。

ゆっくりと目を開いたあたしは、カーテンから透ける陽の光に朝が来たことを知り、身体を起こす。


……はっきりとは覚えていない。

だけど、何だかとても懐かしい夢を見ていた気がする。そして、


どうしてかな、少しだけ胸が苦しい。


何とも言えない不思議な感情に、ぎゅっとパジャマの胸元を掴む。すると、


「ひなー?……あ、起きてた。どうしたの?体調でも悪いの?」


ノックもなしに部屋のドアを開けたのは、お母さん。


「えっ、ううん、大丈夫!」

「そう?ならいいけど、早く準備しないと。今日は早めに学校行くんでしょ」


言いながら部屋に入ってきたお母さんは、シャッと勢い良くカーテンを開き、その眩しさに目を細める。


さっきとは別世界のように明るくなった部屋。

壁にかけたハンガーには、クリーニングに出したばかりの綺麗な制服がかかっていて。


「あっ、うん!」


思い出したあたしは、ベッドから飛び起きた。