夜になった。

約束の時間までに、ご飯と風呂を済ませておく。

自分の部屋に閉じこもると、パソコンの電源を入れた。

オンラインの入室制限部屋って、どうやって作るんだったっけ? 

さすがにあんまりやったことないから、試行錯誤でURLを取得する。

それを舞香へ送ってから、ほっと一息ついた。

ペットボトルから一口、桃の炭酸水を飲む。

少し早かったかな? 

すぐに既読がつかないことに、こんなにも気分が落ち着かない。

 余りにも早い時間から、一人でオンライン部屋にいるのも恥ずかしくて、だけど待たせるのも申し訳ないような気がして、リマインダーを設定して約束の時間の1分前には、自動で接続するようにした。

スマホをのぞき込む。

いや、あんまり焦って連絡してもしょうがないし、いや、もしかしたら接続方法が分からなくて困ってるかもしれないし……。

でも、もしそうなら、連絡くらいあるかなーとか、向こうのPCスペックいけてんのかなーとか、色々考えているうちに、URLを送ったメッセージに既読がついた。

なんだかんだで開きっぱなしにしていたパソコン画面に、突然彼女の姿が現れる。

「うわぁっ!」

「え、なに? ゴメン。待った?」

「う、ううん。ずっと画面開きっぱなしにしてただけだから……」

 私服……なんだろうけど、明らかにラフな部屋着姿に緊張感が高まる。

「えっとさ、動画そっちであげてもらえたんだよね。あと、そのやり方もよく分かんないから、教えてもらっていい?」

「うん。いいよ」

 少し前屈みになる度に、のぞきそうな胸元に目をそらす。

背景に写る彼女の部屋の様子が、そのまんまの素であり過ぎるのが、余計に辛い。

今度背景画像の貼り付け方を教えようか。

いや、そんなことしない方が俺的にも……。