「そばにいるよ。ハクの代わりに、今度は俺が」

 彼女の手が動いて、互いにそれをつなぎ合わせる。

消えてしまった光に、集まった人々も散り始めていた。

その流れに乗り遅れぬよう、彼女の手を引く。

「だから聞かせて。今までキミとハクとの間にあった、俺の知らない物語を……」

「……。ちゃんと聞いてくれるの?」

「はは、もちろん」

 すっかり暗くなった校内を、彼女の手を引いて歩く。

「キミが話したい時に、話したくなったら、話したい分だけでいいからさ」

 振り返ると、うつむいていた彼女は顔を上げた。

肩までの髪が頬にかかっていて、それを舞香は、自分の指で払った。

「分かった。じゃあその時は、ちゃんと聞いてね」

 唇の形がそう動いて、俺はそこにキスしたいと思ったけど、それはまた今度にしようと思う。

 完全下校時間を、とっくに過ぎてしまっていた。

俺たちは、山本とみゆきと4人で並んで、いつかのようにぎゃあぎゃあと騒ぎながらコンビニまでの坂道をくだる。

そこでいつものようにおしゃべりをして、コンビニでアイスを食べ、彼女に手を振る。

「またね」

「またね」

 彼女も笑顔でそう言って、俺に手を振った。