狂った隣人たち

「ごめん!」


突然の謝罪に驚いてくるみは「え、なんで?」と、混乱する。


「だって、これって俺のせいだよな?」


バカという文字を見て痛みをこらえるように顔をゆがめる。


「そ、そんなことないよ」


いいながら慌てて雑巾でラクガキを消す。


「俺がくるまではこんなことなかったはずだ」


そう言われたらその通りなので、思わず黙り込んでしまった。


「なにかあったら全部俺に言って? 絶対に俺がくるみを守るから」


その言葉に教室内に残っていた女子から黄色い悲鳴が上がる。


くるみは耳まで真っ赤になってしまった。


こういう言葉を恥ずかしげもなくかけてくれるところは、幼稚園の頃からかわっていない。


言われたくるみの方が恥ずかしくてうつむいてしまった。


あの家に暮らす人たちはなにかしら問題が起こる。


家族全員がおかしくなる。


でも、祐次だけは大丈夫なんじゃないか?


そんな風に感じるのだった。