本当に危害を加えてやろうと思っているのなら、前回使った椅子のほうがいいに決まっている。


それなのに今回はプラスチックのバッド。


弘人のしていることはどこか矛盾を感じるものだった。


「さぁ。単純に手に届く場所にバッドがあったのかもしれないし」


祐次は首を傾げいるが、あまり関心はなさそうだ。


祐次の話を聞きながら歩いていると、嫌でも今までの事件を思い出してしまう。


殺人まで犯した家族。


その人たちもまた、殺人事件を起こす前に不可解な行動をよくとるようになっていた。


思い出すと鳥肌が立ち、くるみは自分の体を抱きしめた。


「どうした?」


「ううん、なんでもない」


くるみは左右に首を振り、学校へと急いだのだった。