狂った隣人たち

病院にいった後は家族4人でこの町で一番大きなデパートへ行った。


外から見たら4階建てだったけれど、中に入って見たら3階までは売り場になっていて、4階は駐車場として使われていた。


その中で数日分の買い物をして、自宅へと戻ってくる。


父親が運転する車の窓から自分の暮らしている家が見えたとき、玄関先に誰かが立っているのが見えた。


「あれ、誰?」


思わず口に出す。


「え? なんのこと?」


助手席の母親が首をかしげて聞き返してきたとき、その人物の姿はすでに消えていた。


気のせいだったのか?


何度か目をこすってみるけれど、そこには見慣れてきた玄関があるだけだった。


気のせいか……。


少しのわだかりを残して玄関を入ると、真っ先に廊下に出されたままのダンボール箱が視界に入る。


くるみにも指摘された、和室の前のダンボールだ。


「これ、いつ片付けるの?」


ダンボールの前を通り過ぎるとき、何気なくそう質問をした。


そして振り向いた瞬間青ざめた母親が祐次を見ていた。


え?


「すぐ、片付ける」


母親は口ごもりながら、そう返事をしたのだった。