狂った隣人たち

なんなんだ一体?


治療を終えた祐次は待合室に座り、さっきの看護師の変化を思い出していた。


自分がこの町に引っ越してきたと伝えた途端に顔色が変わった。


それに、女子生徒が言っていたあの家の噂についても気になっている。


みんななにか知っている様子なのだ。


なにも知らないのは暮らしている当人たちだけ。


そんな気がしてならない。


落ちつかない気分で待っていると、両親に連れられて弘人が診察室からでてきた。


「どうだった?」


「引越しと天候で精神面がついていけていないのかもしれないって」


母親からの説明に祐次は弘人を見た。


「それなら、ここでの生活が慣れてくれば大丈夫ってこと?」


「たぶんね」


母親は曖昧にうなづき、祐次はポータブルゲームを始める弘人のことをジッと見つめたのだった。