「あぁ~もう! この家にいると頭がおかしくなりそうなんだよ!」


弘人は頭を振り乱して叫ぶ。


え……?


祐次は弘人の体を床に押し付けたまま、その顔を見つめた。


それは俺たち家族が嫌だという意味だろうか?


それとも……?


学校で女子生徒に言われていたことを思い出す。


『大神くんが引っ越してきたのって、あの家だよね? この辺では知らない人はいないよ。だって、あの家はね――』


他に女子生徒たちが近づいてきたのでそれ以上のことは聞くことができなかった。


きっと、俺の気を引くための嘘だと思っていた。


でも……。


祐次は弘人を暴れ続ける見下ろす。


「おい、どうした?」


庭に出ていた父親が騒ぎを聞きつけて、ようやく家に戻ってきたのだった。