狂った隣人たち

「大丈夫だよ。俺が自分の部屋を見せたいだけだから」


くるみの気持ちを察したように祐次が言う。


「そうことなら」


くるみは微笑んで、うなづいたのだった。


祐次の部屋はくるみの部屋の向かい側だ。


「どうぞ」


と手で示されて足を踏み入れると祐次の香りがフワリと鼻腔をくすぐった。


入って右手に窓があるのを見つけて近づいていく。


カーテンを開けて見て見ると自分の部屋の窓が見えた。


祐次の部屋から見える自分の部屋に恥じらいを感じてくるみはすぐにカーテンを閉めた。


といってもお互いにレースのカーテンしか下げていないから、目をこらせば中が見えてしまう状態だ。


家に戻ったら分厚いカーテンをつけたほうがいいかもしれない。


祐次を拒絶しているように感じられて少し嫌だけど、さすがに着替えなどをのぞかれるのは困ってしまうから。


「実はこういうのちょっと憧れてたんだ」


祐次がくるみの隣に立って窓を外を見つめながら言った。