狂った隣人たち

「学校、なれた?」


クッキーをかじりながら聞くと祐次は首をひねって「まぁまぁかな」と、返事をする。


すでに誰とでも打ち解けているように見えているけれど、本人からすればまだまだなのかもしれない。


それから2人は授業内容だったり、先生の話題で盛り上がった。


その間にもくるみはキョロキョロと部屋の中を確認する。


なにか、他の家にはない奇妙なものを見つけられうるかもしれないと思っていたのだけれど、特別代わったものは見当たらない。


大きなテレビに家族写真に漫画本が並んでいる本棚。


どれもこれもどこの家にでもありそうなものばかりだ。


「どうした? 家の中の様子が気になる?」


「う、ううん。なんでもないの、ごめん」


つい夢中になってしまって、妙に思われたかもしれない。


くるみは慌てて視線をテーブルへと戻した。


テーブルの上には冷めてきた紅茶と、残りのクッキーがおかれている。


「そうだ。俺の部屋を見てみない?」


突然の申し出にくるみは「え?」と聞き返した。


「ほら、俺の部屋とくるみの部屋向かい合ってるじゃん? 相手の部屋が気になったりしない?」


もちろん気になるところだった。


だけどくるみの部屋まで見せてと言われたら困るので、押し黙ってしまった。