今回引っ越してきた人たちも、そういう人たちなんだろうか。


「本当に何も知らずに引っ越してきたかも知れないんだ。滅多なことを言うもんじゃない」


父親にたしなめられて、まだ何か言いたげだった聡子は口を引き結んだ。


確かに、ただの偶然でここに引っ越してきただけだったら申し訳ない。


でも本当にどんな人が引っ越してきたのかは気になるところだった。


いい人だったらいいな。


家の大きさと荷物の多さから考えるときっと家族で引っ越してきたんだろう。


まさかまた、同じ家族構成とかじゃないよね?


ふとよぎった不安だったが、不機嫌そうな父親の顔を見たくるみは黙っておいたのだった。