大きく息を吸い込むと異臭が体内に入り込んできてくるみは激しく咳き込んだ。


見るとさっきまで立っていた和室にいる。


目の前には変わらず祐次が守るように立っていて、その向こうには腐敗した男の姿もあった。


「祐次……」


「あぁ、俺も見た」


腐敗した男はゆらゆらと揺れていたかと思うと、途端にその場に崩れ落ちた。


グシャッとつぶれる音がして足元に肉片が飛び散る。


悲鳴を上げるくるみの前で、その肉片は薄っすらと消えていってしまったのだった。


「あれが事件の真相だ。ここに残っているのは和宏さんなんだ」


祐次は早口に言うとスコップを握り締めて床下に下りていった。


「なにをする気!?」


「和宏さんの遺体はまだここにある。それを掘り返して、すべてを終わりにする!」


もう怖いことはなかった。


くるみは覚悟を決めて、祐次の後に続いたのだった。