床板をキレイに直し、畳も元に戻すともうなにもわからなくなった。


和宏を引きずってできた血のあとは綺麗に掃除して、念のために漂白剤を薄めたものを使って念入りにふき取った。


それから自殺したであろう両親の体を泣きながら床に下ろして、ロープで首を絞められたように細工をした。


後は自分が死ぬだけだった。


うまくいくかどうかはわからない。


日本の警察は馬鹿じゃないし、すぐにバレてしまうかもしれない。


それでもよかった。


すべてはやりきったのだから。


孝司は横たわる両親の間に寝転ぶと、父親が和宏を突き刺した包丁を握り締めた。


これも血をふき取り、埋める前に和宏の手に握り締めさせている。


その上から孝司の指紋がついていたって、体から抜き取ろうとしたのだとうと思われるはずだった。


孝司は覚悟を決めて大きく息を吸い込み、そして自分の腹部に包丁を深々と突き刺したのだった。