狂った隣人たち

「今度こそ、盗んでこいよ」


さっきリビングでの出来事は夢だったのかもしれない。


泣いていた孝司は今は怒っていて、和宏を殴りつけている。


その力に容赦はない。


「返事は?」


「はい……」


ようやく暴力の雨が降り止んで、のろのろと顔をあげる。


その瞬間左頬に平手打ちが飛んできて目の前に星が見えた。


そのまま横倒しに倒れた和宏の体の上をまたいで、孝司は部屋を出て行く。


リビングへ行けば、また優しい弟を演じるんだろう。


和宏は感情のない人形のように、能面な顔をして部屋の壁を見つめていたのだった。