狂った隣人たち

2人ともひどく震えていて手をつなぐと互いの震えが伝わってきた。


これからどうすればいいんだろう。


床下へもぐって確認するとか?


そう考えただけで全身に鳥肌が立った。


「そ、そうだ。誰かに助けに来てもらえばいいんだ!」


ようやく自分たちがスマホを持っていることを思い出してくるみは取り出した。


家族が家にいればすぐに来てくれるはずだ。


外からならふすまも開くかもしれない。


期待を胸にスマホをいじる。


しかし恐怖が勝って思うように指先が動かない。


くるみはじれったい気持ちになりながらどうにか母親に電話をかける。


「出て、お願いだから出て」


願うような気持ちで呟くが、通話口から聞こえてくるはコール音ばかり。


「くるみ、早くしてくれ」


祐次が焦った声を出す。


その視線は暗い穴へと向けられている。


「出ないんだもん」


1度切って父親にかけなおそう。


そう思って電話を切ったときだった。


それまでコール音でかき消されていた、ズルッズルッというかすかな物音に気がついてしまった。


その物音は祐次はジッと見つめている暗い穴の奥から聞こえてきている。