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「これしかなくて」


祐次は大きなスコップを片手に戻ってきた。


ひとりであの和室で待っていることができなかったくるみはリビングで祐次が戻ってくるのを待っていた。


それでも今では家全体が気持ち悪く感じられて、ひどく気分が悪かった。


「床板をはぐだけだから、それで十分だと思う」


くるみは答えて廊下へ出た。


和室へ視線を向けるとさっきまでと同様にふすまは開け放たれていて、その中から異様な空気が漏れ出てきているような感じがした。


「大丈夫か？　休んでてもいいよ？」



「ううん、平気」


くるみは左右に首を振り、祐次の後に続いた。


本当はこれ以上和室に近づきたくないという気持ちがかなり強かったが、祐次ひとりに生かせるのもためらわれる。


また閉じ込められたりしたら、祐次ひとりで対処できるかどうかもわからない。


嫌な気分を抱きながらも２人は再び和室へと足を踏み入れた。