そしてお札とお札の隙間が少しだけ空いている場所があり、そこが手が出てきた場所だということも、わかってしまった。


「なんだよこれ……」


祐次がよろよろと後ずさり、その場に座り込んできた。


くるみも強い吐き気を感じて手で口を押さえる。


大家が新聞を取り替えなかったのはこのお札を直視したくなったからだとわかった。


更にお札とお札の隙間からのぞいている板は真っ赤に染まっていて、それは血のようにも見える。


「臭いが強くなってる」


吐き気の原因はこの場の雰囲気だけじゃない。


家に入ったときから臭ってきた腐臭が、畳を上げたことで更に強烈に漂い始めているのだ。


2人は無言で顔を見合わせた。


次にしなければならないことも、すでにわかっていた。


「道具を持ってくる」


祐次は静かな声でそう言ったのだった。