「おかえりくるみ。どこに行ってたの? 今隣に救急車が」


「知ってる」


くるみは聡子の言葉をさえぎった


祐次はその後ろからおずおずと足を踏み入れる。


その瞬間両親と聡子の表情が険しいものに変化した。


祐次はいごこちの悪さを全身に感じてうつむく。


「ちょっと、どういうこと!?」


大声を張り上げたのは聡子だった。


その目は釣りあがり、怒りを隠そうともしていない。


「祐次はまだなにも起こしてない。他の家族とは違う」


「違う? なにが違うの? 隣の家に引っ越してきた家族じゃない!」


「でも、本当になにもしてないの! 学校でも問題は起こしていないし、異常行動だって見られない!」


「だからってあんたねぇ!」


更に食いついてくる聡子を父親が手で制した。


そして祐次の前まで移動してくる。


「どうしてずぶ濡れなんだい?」


そう聞かれて、祐次は前髪から流れ落ちてくる水滴を手のひらでぬぐった。


「さっき公園で、頭から水をかぶりました。父親と弘人が……」


そこまで言って説明をとめる。