狂った隣人たち

祐次はまた恐る恐る足を進めた。


なにをしてるんだ。


なにをしてるんだ。


なにをしてるんだ。


一歩近づくごとに吐き気が増してくる。


張り裂けてしまいそうな緊張感の中、祐次は一気に2人の正面に回りこんだ。


途端に贓物が視界に飛び込んでいた。


せりあがってくる吐き気。


グチャグチャグチャ。


父親は贓物を魚の腹部から取り出しているところだった。


その様子に大きく息を吐き出す。


人じゃなかった……。


最悪の事態は免れたという気持ちと、怒りがわいてくるのを感じる。


「こんなところでなにしてんだよ!」


怒鳴ると2人はようやく顔を上げて祐次を見た。


まるで、今まで祐次の存在に気がついていなかったような様子だ。