狂った隣人たち

☆☆☆

机に座っていてもついボーっとした時間が長くなってしまう。


「くるみ、次移動教室だよ?」


友人のリオに言われて我に返ると、クラスメートたちはみんな教室を出てしまっていた。


横の席の祐次もいつの間にかいなくなっている。


慌てて教科書と筆記用具を手に席を立つ。


「大丈夫? なんか最近疲れてない?」


歩きながら心配そうに顔をよせてくる。


「大丈夫だよ。ちょっと、考え事をしてただけだから」


「もしかしてあいつらのこと? まだなにか嫌がらせされてる?」


リオのいうあいつらとは、一度机にラクガキをしてきた3人組のことだ。


あの子たちはまだ祐次のことを諦めていないみたいだ。


「ううん、大丈夫だよ」


くるみは笑顔で返事をした。


実際に祐次が堂々と発言してくれたおかげで、表立ったイヤガラセは受けていない。


時々嫌な視線を感じることはあるけれど、そのくらいだった。


「そっか。なにかあったらちゃんと言ってよ? 私たちは友達なんだから」


リオはくるみの腕に自分の腕をからめてスキップをしはじめる。


そんなリオにくるみはホッと息を吐き出して、同じようにスキップしてみせたのだった。