狂った隣人たち

「昨日は変な夢も見たんだ」


「夢?」


「あぁ。あの家で俺の知らない家族が暮らしている夢だった。4人家族で、男兄弟が2人」


その瞬間くるみの背筋に寒いものが走った。


今までと全く同じ家族構成だ。


夢の中でまでそんな家族が出てくるなんて気味が悪い。


ただ、その夢は単純にストレスを感じている祐次が見てしまったというだけかもしれないけれど。


「夢の中の兄貴の方が俺を見たんだ。そいつ、玄関先に立ってたあの男だった」


「一瞬見えて、すぐに消えたっていう?」


「あぁ」


くるみは自分の体を抱きしめるようにしてさすった。


さっきから寒気が止まらない。


天気はいいのに、どうしてこうも寒いんだろう。


「なにか、関係があるのかな」


「わからない」


くるみの問いかけに、祐次は苦痛に歪んだ表情でそう答えたのだった。